着物リメイクをしていると、
「着物をほどいて作り直すんですね。」
と言われることがあります。
その通りです。
でも、初めて着物をほどいた日のことは、今でもよく覚えています。
布を切るわけでもないのに、とても緊張しました。
「本当にほどいていいのかな。」
そんな気持ちで、一針目をほどいたことを覚えています。
誰かが時間をかけて、一針一針丁寧に仕立てた仕事を、自分の手でほどいていくこと。
そのことに、私はずっと迷いがありました。
だから、着物をほどくことは、今でも少し特別な時間です。
まずは着物を広げて、全体を見ます。
シミや汚れ、傷がないか。
柄の出方はどうか。
裏地の状態はどうか。
一つひとつ確認しながら、これから先のことを考えます。
実は、その前に少しだけ思うことがあります。
「この着物、私が着られないかな。」
着物が好きなので、本当に好みの柄に出会うと、そんなことを考えてしまうんです。
でも、サイズが合わなかったり、すでに次の役割が決まっていたりすると、「じゃあ、新しい形で活躍してもらおう」と気持ちを切り替えます。
どんな服が似合うかな。
この柄はどこを生かそう。
バッグもいいかな。
そんなことを考えている時間は、旅行の計画を立てている時のように、少しわくわくします。
そして、不思議なことに、作業が進むにつれてだんだん無心になります。
耳ではラジオや音楽を聞いていても、手と目は着物に向かい、気づけば着物だけに集中しています。
着物をほどくようになってから、仕立てた方の仕事にも目が向くようになりました。
縫う方によって、縫い方にも少しずつ個性があります。
「こんな仕立て方をされるんだ。」
「見えないところまで丁寧。」
そんな発見をするたびに、仕立てた方への敬意は深くなっていきます。
だからこそ、お預かりした着物をほどくときは、いつも以上に神経を使います。
シミや汚れ、傷を丁寧に確認しながら、一枚一枚と向き合います。
着物をほどくことは、私にとって終わりではありません。
その着物が、次にどんな役割を担うのかを考え始める時間です。
これは、私たちなりの着物との向き合い方です。
これからも、一枚一枚の着物と丁寧に向き合いながら、その先の時間へつないでいけたらと思っています。
作品の一覧は、オンラインショップ(BASE)でご覧いただけます。
制作の日々は Instagram でも綴っています。
時を結ぶ ゆずるは郡上

