着物をほどいていると、いろいろな大きさのハギレができます。
でも私は、そのハギレをなかなか捨てることができません。
本当に小さなものまで取っておくので、自分でも少し困るくらいです。
最近は「10センチ以上は残そう」と、自分なりの目安を決めるようになりましたが、それでも気がつくと布が増えています。
子どもの頃から手芸が好きだった私は、小さな布でも何かにできないかと考えるのが当たり前でした。
アップリケになったり、小さなリボンになったり。
贈り物を結ぶ紐の代わりになったこともあります。
だから私の中には、「布を捨てる」という発想が、あまりなかったのかもしれません。
思い返してみると、母もそうでした。
どんなに小さな端切れでも、丁寧に取っておく人でした。
私はそんな姿を見て育ったので、それがごく普通のことだと思っていました。
もちろん、同じ家で育っても考え方はそれぞれです。
妹は、私とは反対で、必要がなければさっと手放せるタイプ。
だからこれは「母がそうだったから」ではなく、私自身の性格もあるのかもしれません。
ゆずるはで小物を作るようになってからは、ハギレの役目を考える時間が増えました。
少し大きな布は巾着や帽子に。
細長い布はリボンや紐に。
もっと小さくなったら、つまみ細工やくるみボタン、ピアスになることもあります。
「まだ何かになれるかな。」
そんなふうに考える時間も、私は好きです。
でも、どんな布にもいつか終わりはきます。
何度も考えて、それでももう何にもできないと思えた時。
私は心の中で、そっと「ありがとう」と言います。
その「ありがとう」には、少しだけ寂しさもあります。
その柄には、もう二度と会えないから。
でも、それは悲しいお別れではありません。
最後まで役目を果たしてくれた布への、静かな感謝です。
ゆずるはで着物と向き合うようになってから、一枚の布には、思っていた以上にたくさんの役目があることを教えてもらいました。
大きな形だけでなく、小さなハギレにも、その布らしい役目がある。
そんなことを思いながら、今日も小さな布を眺めています。
作品の一覧は、オンラインショップ(BASE)でご覧いただけます。
制作の日々は Instagram でも綴っています。
時を結ぶ ゆずるは郡上

