母から譲り受けた一枚の着物で、フード付きのネックウォーマーを作りました。
完成したものを母に見せた時、母はすぐに気づきました。
「これ、ばあちゃんの着物」
その瞬間、母の表情が変わりました。
懐かしいような。
少し寂しそうな。
でも、とても嬉しそうな。
いろいろな気持ちが混ざったような、なんとも言えない優しい表情でした。
その顔を見た時、私は初めて気づきました。
この着物は、ただの布ではなかったんだと。
祖母は昔、とてもおしゃれな人でした。
遊園地に行く時も着物を着て行くような人。
今では少し珍しく感じるかもしれませんが、祖母にとって着物は特別な日のためだけのものではなく、自分らしくいるためのものだったのかもしれません。
そんな祖母が身につけていた着物が、時を越えて、今度は母を温めるものになりました。
母はそのネックウォーマーをとても大切そうにしてくれたので、その場でプレゼントすることにしました。
そして私は、自分用にももう一つ作りました。
母は寒がりなので、冬になると毎日そのネックウォーマーを身につけて眠っています。
その姿を見るたびに思います。
祖母の着物は、形を変えても、ちゃんと母のそばにいるんだな、と。
以前の私は、
「せっかく残っている着物だから、勿体ない」
「何とか活かしたい」
そんな気持ちが大きかったです。
もちろん今でも、その気持ちはあります。
でも、母の表情を見てから、少し考え方が変わりました。
大切なのは、ただ別の形に変えることだけではないのかもしれない。
その人を思う時間。
その人を身近に感じること。
思いを身につけること。
そんなことも、大切にしたいと思うようになりました。
もし、ご自宅に眠っている着物があったら。
すぐに何かに変えなくてもいいと思います。
まずは一度、広げて眺めてみてください。
どんな時に着ていたのかな。
誰が選んだ柄なのかな。
この着物を着ていた人は、どんな気持ちだったのかな。
そんなふうに、その着物を残してくれた人を思う時間を楽しんでほしいと思います。
ゆずるはは、着物をただ新しい形に作り変えるだけではなく、
そこに込められた時間や思い出を、これからも大切につないでいきたいと思っています。
形が変わっても、
大切な人とのつながりまで消えることはないから。
作品の一覧は、オンラインショップ(BASE)でご覧いただけます。
制作の日々は Instagram でも綴っています。
時を結ぶ ゆずるは郡上

